5月号読みどころ(2)

5月号読みどころ(2)


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5月号      
         「企業事例研究 1」
  泉屋酒販株式会社 取締役会長 土師軍太
______________ P18~P25 _

 「月刊・理念と経営」5月号の企業事例研究は、
 泉屋酒販株式会社様です。

 泉屋酒販株式会社様は、
 酒販売免許自由化の中、
 従来型の小売業が苦戦する酒販売業界で
 着実に業績を伸ばしている企業です。

 土師軍太会長は、

 「企業にとって一番大切なことは
  気づくことができる感性の涵養である」

 と言い切ります。

 常に時間とお金の無駄を排してきた経営から
 多くの経営哲学を学べる企業事例です。

 ※【涵養(かん・よう)】
   「自然に水がしみこむように
    徐々に養い育てること」
 

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 ■ 土師軍太会長の哲学・ビジョン    
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 創業は昭和30年11月。

 間口一間奥行き二間の三坪からの
 立ち上げです。

 固定客も無く、
 奥様は買い物かごを持って近隣へご用聞きに、
 土師氏は自転車で遠方まで注文を取りに行く。

 朝の8時から深夜12時までの営業。

 一番の苦労はお金がなかったことです。

 
 数々のご苦労の体験が、
 今の事業成長の糧になっている事が
 実感できます。

 土師会長はこう語っています。

  「ピンチに出会ったときに、
   どうそれを受け止め、どう気づくかという、
   その気づき方が問題なのです。
 
   そこで挫折するか、
   意気盛んに挑戦するかですね。」

 『物事を肯定的に解釈する』ことが重要であり、
経営者に必要なリーダーシップ要素です。

 リーダーシップには、
 大きく分けて4つの階層があります。

 
  1.リーダーシップ価値観
     = 哲学、考え方(人間尊重 など)
  2.リーダーシップ特性
     = 性質(肯定的、謙虚 など)
  3.リーダーシップスキル
     = 能力(適切な意思決定ができる など)
  4.リーダーシップスタイル
     = 様式(言行一致 など)
 
 “価値観”“特性”という目に見えない部分が、
 “スキル”“スタイル”という目に見える部分に
 影響します。

 土師会長の
 『挑戦する』という価値観や、
 『物事を肯定的に解釈する』という特性が、
 リーダーシップの執り方に影響を与え、
 経営という目に見える部分での
 成功を創ったのです。

 是非皆さんも、
 ご自身のリーダーシップの執り方の
 根本にあるリーダーシップ価値観・特性を
 振り返って下さい。

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 土師会長は、酒販の他に
 飲食業専門の不動産会社も立ち上げました。

 その目的は、
 ”本当にお客様に満足してもらう
  魅力ある飲食空間を提供するため”です。

 
 「一坪たりとも自分の利益だけのために
  買ったものはありません。」

 
 この言葉に、
 土師会長の哲学が凝縮されています。 
 

 人は、まず自分の幸せ、
 自社の利益を優先してしまいがちですが、
 「サービスが先、利益が後」という
 商売の基本を忠実に実践され、
 その結果として自分達の幸せを
 築かれていらっしゃいます。

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 ■ サントリー佐治社長との出会い    
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 サントリーオールドが一世を風靡していたころ、
 サントリーは、高級感のあるリザーブを
 もう一つの柱にしようとしていました。

 しかし、
 思う様にいかず何とかしてもらえないかと、
 佐治社長が西鉄グランドホテルまで来られて
 土師会長と話す機会があったそうです。

 土師会長はすぐに引き受け、
 以前から取引のあった飲食チェーンに
 リザーブを使った新業態を提案したところ、
 お客に喜ばれ大繁盛しました。

 とうとう久留米中のお店が
 リザーブ一色になったとのことです。

 このときに佐治社長と会った時の印象を
 土師会長が述べていますが、
 とても興味が湧く内容です。

 サントリー様のような
 素晴らしい会社の経営者は
 一味違うことを感じて頂けると思います。

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 ■ 時間と金の無駄遣いをしない
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 順風満帆で人生を生きて来られた
 土師会長の様に見えますが、
 様々なご苦労もありました。

 ご子息が中学校、高校のとき、
 奥様が失明され、
 病院で寝泊りの看護と子育てと、
 大変な時期がありました。

 また、
 そうしたことが親子の絆を深めることになり、
 昨年、長男の康博氏が代表取締役社長に、
 次男の正記氏が代表取締役専務に就き、
 事業継承を終えました。

 経営にとって大切な事は、
 素直・誠実・努力と忍耐であり、
 「積小為大」の精神であり、
 経営者として時間とお金を
 「社員とお客様のことにどれだけ使うか」
 と語る土師会長。

 
 「お金」とともに
 「時間」をどのように使うかを
 考えておられるところに
 土師会長の誠実さがあると思います。

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 企業理念の「繁盛創り、人創り」は、
 街づくりと日本の酒の文化を守ることであり、
 社員さんと幸せな生き方を共に創造する
 ということです。

 酒文化の継承を通じ、
 人々の幸福と豊かな社会の創造に
 貢献し続けると熱く語る土師会長。

 企業理念や経営方針、社員心得を通じて、
 社員と共に人生の目的、人生に
 おける働く意義を重視した経営についての、
 大きなヒントが沢山学べる企業事例です。

 経営者・経営幹部の皆さんが
 学ぶべきリーダーシップの理想像である
 と思います。

 是非、ご一読下さい。

 そして、全社員さんと一緒に、自社の事業が
 どのようにお客様のお役に立っているのかを
 話し合ってみて下さい。

 仕事のやりがいを再発見できると思います。

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